相続登記の義務化について
相続後の不動産登記が義務化されます。

これまで、相続した不動産の登記変更は任意で、罰則もありませんでした。
- 登録免許税を支払いたくない。
- 司法書士等に依頼する報酬がもったいない。
- そもそも、相続後に登記をする事を知らない。
- 単に登記を失念している。
上記の様な理由で、登記変更がなされていない不動産が多く存在します。
また、登記変更しなくても、相続人はなんら問題なく居住できるので、長年の間放置されてきました。
では、登記しないと何が問題なのか?
登記変更しないということは、登記簿上の所有者は、被相続人(故人)のままになっています。
実際に、その不動産に居住者がいれば、その居住者がおそらく所有者であろうと検討がつきますが
居住者がいない、空き家の場合が大変困るのです。
現在、空き家の数は、不動産全体の13%台(2018年)になっており、とても深刻な現状になっています。
空き家は火災の原因になったり、倒壊したり、不審者が住み着いたりと近隣の方々にとってはとても迷惑なものです。
いざ、裁判を起こそうとしても、登記上の所有者が他界しているため、真の所有者を特定するには、費用と時間を要してしまい、なかなか、先へ進まないのが現状です。
一方、相続人がその不動産を売却しようとしても、相続人全員の承諾が必要なため、曾祖父から登記が変更されていない場合でも、何人もの相続人を調べ上げ、その相続人から承諾をもらわないと売却できません。結果、空き家になってしまいます。
やはり、現所有者が明確にならないと誰もが困ったケースに陥ることがあるのです。
そこで、2024年施行予定で義務化になります。
相続開始を知り、相続人が所有権を取得した事を知ってから3年以内に所有権移転登記をしないといけません。
もし登記を怠ると...
- 10万円以下の過料の罰則があります。
2021年4月に改正されて、2024年施行予定の法律ではありますが、
施行日以前の登記に関しても遡及して適用されるので、ご注意下さい。
また、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例もありますので、併せてご検討下さい。
不動産ADR調停人
長縄隆二